千手観音の持物
千手観音は左右の手それぞれに持物を持っています。『千手千眼陀羅尼経』という経典に書かれているものを実際の像や絵に表しています。
千手観音の左手の持物
・宝戟(ほうげき)千手観音が左手に持つ杖状のもの。先端が3つに分かれた武器。
・化仏(けぶつ)小型の仏像。
・宝鐸(ほうたく)小型の鐘のこと。
・紫蓮華(しれんげ)
・払子(ほっす)元来は蝿などを追い払うための道具。
・羂索(けんさく)投げ縄のこと。
・日輪(にちりん)経典には「日精摩尼」(にっしょうまに)とある。
・宝輪(ほうりん)経典には「不退金輪」とある。
・宝螺(ほうら)ほら貝。
・玉環(ぎょくかん)「金環」とも。これに代えて「宝釧」(ほうせん、腕輪)をもつこともある。
・髑髏杖(どくろじょう)右手に持つ場合もある。
・紅蓮華(ぐれんげ)
・傍牌(ぼうはい)龍の顔を表した楯のようなもの。
・宮殿(くうでん)経典には「化宮殿」とある。
・五色雲(ごしきうん)右手に持つ場合もある。
・宝鉤(ほうこう)経典には「倶尸鉄鉤」とある。先端が直角に曲がった棒状の武器。右手に持つ場合もある。
・宝剣(ほうけん)柄(つか)の部分が三叉に分かれた三鈷剣。右手に持つ場合もある。
・宝弓(ほうきゅう)右手に持つ矢(宝箭)と対をなす。
・澡瓶(そうびょう)「軍持」とも。水差しのこと。
千手観音の右手の持物
・錫杖(しゃくじょう)左手にもつ「宝戟」と対をなす。杖の上方に輪をいくつも付けてあり、これを持って歩くと輪が音を発する。元来はインドで山野を歩く際の毒蛇除けに使用したもの。
・頂上化仏(ちょうじょうけぶつ)
・三鈷杵(さんこしょ)中央に握りがあり、両端が三叉になった法具。経典ではこれを持つ手を「跋折羅手」(ばさらしゅ)とする。
・青蓮華(しょうれんげ)
・楊枝(ようじ)柳の枝。「楊柳」とも。左手に持つ場合もある。
・数珠(じゅず)
・月輪(がちりん)経典には「月精摩尼」とある。
・宝珠(ほうじゅ)経典には「如意珠」とある。左手に持つ場合もある。
・宝経(ほうきょう)「経篋」(きょうきょう)とも。仏典のこと。左手に持つ場合もある。
・宝印(ほういん)
・蒲桃(ぶどう)葡萄のこと。
・白蓮華(びゃくれんげ)
・施無畏(せむい)持物を持たない手。左手とする場合もある。
・宝鏡(ほうきょう)
・宝篋(ほうきょう)小箱。「梵篋」とも。
・金剛杵(こんごうしょ)「独鈷杵」(とっこしょ)とも。中央に握りがあり、両端に鋭い刃のついた武器。左手に持つ場合もある。
・鉞斧(えっぷ)「おの」「まさかり」のこと。左手に持つ場合もある。
・宝箭(ほうせん)矢のこと。
・胡瓶(こびょう)ペルシャ風の水差し。「宝瓶」とも。